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指針は、腰痛が比較的多い作業として「重量物取扱い作業」と「車両運転等の作業」を含む5つを挙げ、作業ごとの対策を示しています。軽貨物の運転者は、この2つの両方に関わります。このページでは、荷物を積み卸すときの重量の目安、運転した後の休息、運転中の座席と休憩の3点を、指針の原文で確認します。
運転した直後に重い荷物を扱わず、小休止とストレッチングを挟むことが、指針が運転者の荷役に示す中心の対策です。
指針は平成25年6月18日付けの通達(基発0618第1号)の別添として示されています。重量の目安は「努めること」と書かれています。個別の事業者への適用や指導は、管轄の労働基準監督署へ確認してください。
荷物の積み卸し(重量物取扱い作業)
指針は、重量物の取扱いは自動化を原則とし、難しい場合は台車や補助機器で人力の負担を軽くするとしています。例として、倉庫の荷役では昇降装置や自動搬送装置を持つ貨物自動車の採用、ローラーコンベヤーや台車の使用を挙げています。
| 項目 | 示されている内容 |
|---|---|
| 重量の目安 | 満18歳以上の男子労働者が人力のみで取り扱う物は、体重のおおむね40%以下となるように努める。満18歳以上の女子労働者は、さらに男性が取り扱える重量の60%位まで |
| 目安を超える場合 | 適切な姿勢で、身長差の少ない労働者2人以上で行わせるように努める。各人に重量が均一にかかるようにする |
| 荷姿・重量の明示 | 荷物はかさばらないようにし、取扱う物の重量はできるだけ明示する |
| 取扱い時間 | 重量・頻度・運搬距離に応じて小休止・休息をとり、他の軽作業と組み合わせて、連続した重量物取扱い時間を軽減する |
| 腰部保護ベルト | 必要に応じて使用を考える。一律に使用させず、労働者ごとに効果を確認してから使用の適否を判断する |
体重70kgの人であれば、体重のおおむね40%は28kgです。これは目安の計算例であり、指針は個々の荷物について良否を判定するものではありません。
長時間運転した後の荷役
指針は、長時間車両を運転した後に重量物を取り扱う場合は、小休止・休息及びストレッチングを行った後に作業を行わせることとしています。この点は、重量物取扱い作業の項と車両運転等の作業の項の両方に書かれています。
解説は理由を、長時間の運転による姿勢の拘束で末梢の血液循環が悪くなったり、一時的に筋力の調整がうまくいかなくなったりすることがあるため、運転直後に重量物を取り扱うことは好ましくない、と説明しています。配送先に着いて、そのまま重い荷物を持ち上げる場面が当たります。
運転中の対策(車両運転等の作業)
指針は、トラック等の貨物自動車の運転で、長時間の姿勢の拘束と振動にさらされると腰に過度の負担がかかり腰痛が起きやすくなる、としています。そのうえで、次の対策を示しています。
| 対策 | 示されている内容 |
|---|---|
| 運転座席 | 座面・背もたれの角度が調整でき、腰背部を安定して支え、振動を減らす座席が望ましい。運転の前に座面角度・背もたれ角度・座席の位置を適正に調整する。改善できない場合はクッション等で振動の軽減に努める |
| 時間管理 | 総走行距離や一連続運転時間を管理し、適宜、小休止・休息を取らせる。休息では車両から降りてストレッチング等を行う。深夜に及ぶ運転では仮眠の確保にも配慮する。仮眠の確保は腰痛予防だけでなく安全運転の観点からも極めて重要とされている |
| 荷物の積み卸し | 人力の取扱いは重量物取扱い作業の項によるとし、長時間運転の後は小休止・休息・ストレッチングを行ってから作業する |
| 構内の環境 | 床の凹凸をなくし、作業の安全が確保できる照明を確保し、寒冷にさらされないよう温湿度の管理にも心がける |
| 服装 | 動きやすい作業服、滑りにくい靴、必要な保護具を着用する |
誰に向けた指針か
指針は、事業者が労働者の健康を確保する責務を持つことを前提に、「事業者は次の対策を講ずること」の形で書かれています。したがって、運転者を雇う軽貨物事業者に向けた内容です。労働者を使わず自分1人で走る一人事業主への適用は、確認した資料に書かれていません。ただし、座席の調整、休憩の取り方、運転直後に重い荷物を扱わない配慮は、自分の腰を守る手順として読めます。
| 立場 | 読み方 | 確認の状況 |
|---|---|---|
| 運転者を雇う軽貨物事業者 | 指針の「事業者は」に当たる内容。座席、時間管理、荷役の手順を整える側 | 指針の文言で確認 |
| 雇われている運転者 | 事業者が整える対策の対象 | 指針の文言で確認 |
| 労働者を使わない一人事業主 | 指針の対象かは書かれていない。内容は自分の手順として参考にできる | 適用は断定できない。労働基準監督署へ確認 |
陸上貨物運送事業の腰痛の発生
厚生労働省の「陸上貨物運送事業における腰痛の予防」のページは、陸上貨物運送事業の腰痛発生率(死傷年千人率)が全業種平均(0.1)を大幅に上回る0.41であることから、腰痛予防対策の推進が重要な課題としています。数値の集計年は、確認したページ本文では確かめていません。
確認できていないこと
- 軽貨物の運転者や一人事業主に、指針を守らなかった場合の罰則があるか。指針は通達の別添で、罰則の定めは確認していません。
- 国土交通省が貨物軽自動車の運転者の腰痛予防について示す資料があるか(このページでは調べていません)。
- 陸上貨物運送事業の腰痛発生率の集計年。
指針の文言
| 出典 | 文言 |
|---|---|
| 重量物取扱い作業 人力による重量物の取扱い(2) | 「満 18 歳以上の男子労働者が人力のみにより取り扱う物の重量は、体重のおおむね 40%以下となるように努めること。満 18 歳以上の女子労働者では、さらに男性が取り扱うことのできる重量の 60%位までとすること。」 |
| 重量物取扱い作業 その他(2) | 「長時間車両を運転した後に重量物を取り扱う場合は、小休止・休息及びストレッチングを行った後に作業を行わせること。」 |
| 同 解説 | 「長時間の車両の運転から生ずる姿勢拘束による末梢血液循環の阻害や一時的な筋力調整不全が生ずることがあり、荷物の積み卸し作業に当たっては、運転直後に重量物を取り扱うことは好ましくない。」 |
| 車両運転等の作業 (2)車両運転等の時間管理 | 「総走行距離や一連続運転時間等の時間管理を適切に行い、適宜、小休止・休息を取らせるようにすること。小休止・休息の際は車両から降りてストレッチング等を行い、筋疲労からの回復を十分図ること。」 |
よくある質問
Q1. 荷物の重さに上限はありますか。
A. 指針は、満18歳以上の男子労働者が人力のみで取り扱う物の重量を体重のおおむね40%以下とするよう「努めること」とし、満18歳以上の女子労働者ではさらに男性が取り扱える重量の60%位までとしています。守らなければならない上限ではなく、努めるべき目安として書かれています。
Q2. 長時間運転した直後に重い荷物を降ろしてよいですか。
A. 指針は、長時間車両を運転した後に重量物を取り扱う場合は、小休止・休息及びストレッチングを行った後に作業を行わせることとしています。解説は、運転直後に重量物を取り扱うことは好ましくないとしています。
Q3. 運転中の腰痛予防として指針は何を挙げていますか。
A. 運転座席の改善と運転前の調整、総走行距離や一連続運転時間の管理、小休止・休息で車両から降りてのストレッチング、深夜に及ぶときの仮眠の確保などを挙げています。
Q4. 1人で走る一人事業主にも指針は当てはまりますか。
A. 指針の本文は「事業者は」と「労働者」の関係で書かれており、労働者を使わない一人事業主への適用は、確認した資料に書かれていません。示されている座席の調整、休憩、運転直後に重い荷物を扱わない配慮は、自分の腰を守る手順として読めます。
回答は本文と同じ公式資料で確認した範囲です(2026年10月17日確認)。罰則の適用は確認できていません。
次に確認すること
荷役中の災害と業務記録の書き方は荷役作業の安全と記録、連続運転の時間と休憩は連続運転時間と休憩、運転者の疲労の確認は過労運転等の防止、暑い時期の荷役は熱中症対策の義務で確認できます。
公式根拠
指針の文言は、厚生労働省の職場における腰痛予防対策指針及び解説(PDF)で、指針の位置づけ(平成25年6月18日基発0618第1号の別添)は厚生労働省「職場における腰痛予防の取組を!」で、陸上貨物運送事業の腰痛発生率は厚生労働省「陸上貨物運送事業における腰痛の予防」で確認しました(2026年10月17日)。
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